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大杉漣さん ありがとうございました。

私が刑務所関係の監修をはじめたのは20年前、大杉さんとは映画とテレビドラマで3回ご一緒させていただいた。中でも平成20年(2008年)公開の『休暇』(吉村昭原作)小林薫、西島秀俊主演の映画では、私が拘置所長役、大杉さんが死刑囚を受け持つ係長(副看守長)役で出演。北野たけしさんの映画で、やくざ者の役を経験されていたからか、刑務所や拘置所の中のこと、受刑者の心情などについて多くの質問を受けたことを思い出す。

訃報に接したのは、東海テレビ開局60周年記念テレビドラマ『家族の旅路』の撮影立ち会い中のことだった。撮影現場でも役者、スタッフの皆さんの多くが大杉さんには優しくしてもらった記憶があり、感謝と冥福を祈る言葉が交わされた。

『休暇』撮影時の大杉さんとの写真はKinemaにあります。クリックしてご覧ください。10年前ですから大杉さんは56歳です。

 

死刑についての徹底討論!?

そこまで言って委員会に出演して……

読売テレビで平成29年11月5日にOAされた『そこまで言って委員会』タイトルは「徹底討論日本の死刑制度」です。

委員会メンバー                     (反対派)田島陽子、鈴木邦男、須田慎一郎、小島慶子   (賛成派)長谷川幸洋、宮家邦彦、竹田恒泰、門田隆将     ゲスト                         (反対)森達也、木村健太郎               (賛成)諸澤英道、嵩原安三郎

収録は3時間余り、賛成反対それぞれの発言は正直って稚拙。大学学長、国会議員、有名評論家、弁護士など識者と呼ばれる人たちですが、話の内容は全く期待はずれでした。この人たちが語気を強めて2時間程度発言した内容の一例は次のとおり……

江戸時代の仇討ち                     死刑廃止国では問題とされない犯人射殺           現行の三審制の裁判を盲信!? 冤罪はありえない

その後、私が登場して死刑執行の現場の話や、官僚と司法関係者の思いなどを語り、委員会メンバーと議論しました。収録時間はOAの倍です。重要な論点がカットされていないことを願っていましたがどうだったのでしょう。

残念ながら東京では視聴できませんでしたが、視聴できる地域では、たかじんさんがやっておられた時からの人気番組とのこと。テレビをみたよ! と、30年以上音信が途絶えていた刑務官時代の幹部研修同期生が私を探しあてて連絡をくれました。「あれだけの人たちの知識とか思いがあの程度だとは!」と私と同じ思いを語ってくれたました。記憶をたどると、彼は出世欲のない真の矯正職員魂を持った方だったことを思い出し納得した次第です。囚われた人たちを温かい目で見ていた彼は、定年退官後、俳句の達人になって活躍しています。